突然ですが、質問があります。
日本は資本主義?民主主義?どっちが正解でしょう?
実はこの問題…そもそも間違っています!
「え、どういうこと?」と混乱された方も安心してください。
この記事を読めば、以下のことが分かるようになりますよ♪
- 日本は資本主義であり、民主主義である
- 資本主義とは、経済のしくみのことで、個人が自由にお金もうけできるシステム
- 民主主義とは、政治のしくみのことで、国民自らが投票という形で意見し、代表者を決めて政治を行うこと
- 日本の民主主義の始まりは、1889(明治22)年の「大日本帝国憲法」と「衆議院議員選挙法」の公布時
- 日本の民主主義の特徴は、三権分立による権力の分散と三権への国民の直接参加
早速、解説していきましょう!
日本は何主義ですか?
日本は民主主義です。
日本は何主義?資本主義と民主主義どっち?
冒頭の問題の正解は「日本は資本主義であり、民主主義でもある」です!
「あれ、どっちかじゃないの?」
そう思われた方もいらっしゃるかも知れません。
実は、資本主義か民主主義か、どちらかを選ぶこと自体が間違っています。
なぜなら、資本主義と民主主義はジャンルの違うものだからです。
ここでは、日本が何主義なのか?
また、資本主義・民主主義とはどういう意味なのか、それぞれ解説します!
始めに、以下の表をご覧ください。
日本のスタンス | 比較されるスタンス | |
経済 | 資本主義 | 社会主義、共産主義 |
政治 | 民主主義 | 独裁制、君主制 |
このように、資本主義は経済のしくみ、民主主義は政治のしくみを表すことばです。
ことばだけを見ると同じ「〇〇主義」ですが、示す意味は異なりますので、気をつけましょう!
では、資本主義・民主主義とは、どのような意味なのでしょうか?
- 資本主義とは?
- 民主主義とは?
以上の順番でまとめていきます!
資本主義とは?
「資本主義」を一言で表現すると「個人が自由にお金もうけできるシステム」です!
まずは辞書的な意味から考えてみましょう。
デジタル大辞泉(小学館)で「資本主義」を引くと、次のように載っています。
【資本主義(キャピタリズム)】
封建制度に次いで現れ、産業革命によって確立された経済体制。生産手段を資本として私有する資本家が、自己の労働力以外に売るものを持たない労働者から労働力を商品として買い、それを上回る価値を持つ商品を生産して利潤を得る経済構造。生産活動は利潤追求を原動力とする市場メカニズムによって運営される。 |
噛み砕いて説明すると、資本主義とは、
- 資本家が企業にお金を貸す
- そのお金をもとに、企業が労働者を雇う
- 企業が労働者とともに、商品やサービスを販売して利益を得る
- 企業が借りたお金に利益を乗せて、資本家に返す
以上のしくみのことです。
ポイントは、国が商売に口を出さないので、自由な競争が生まれること!
いつ、どこで、何を売って、どうやってもうけるのかは個人の自由です。
だからこそ、経済が発展する一方で、もうけられる人とそうでない人で格差ができやすいという特徴をもっています。
すなわち、「資本主義=個人が競争しながら稼ぐことで経済を発展させる方針」と理解しましょう!
ちなみに、今の日本で言うと、株主が株式を購入し(企業にお金を貸し)、配当を受け取る(利益を乗せてお金を返してもらう)システムが、まさに資本主義ですよね!
2021年に放送されたNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公「渋沢栄一」がつくった「株式会社制度」や「銀行制度」が、その土台となっていることで有名です。
さて、ここで資本主義について理解を深めるため、よく比較される「社会主義」と「共産主義」の意味も掘り下げておきましょう。
デジタル大辞泉で引くと、それぞれ次のように書かれています。
【社会主義】
|
【共産主義】
|
つまり、「社会主義」とは、国の管理のもとでお金をもうけ、平等に分配するしくみのことで、それを発展させたのが「共産主義」です。
この場合、国が商売を管理しているため競争が起きず、経済が停滞する傾向にあります。
他方で、国民全員が経済的に平等で、貧富の差の少ないことが特徴です。
現在、社会主義国だと主張しているのは、「中国」「北朝鮮」「キューバ」「ベトナム」「ラオス」の5ヶ国のみ!
多くの社会主義国はうまくいかず、破たんした歴史があります。
ここまで、資本主義とはどういう意味なのか、説明しました。
資本主義とは、「個人が自由にお金もうけできるシステム」です。
さらに詳しく知りたい方は、以下の動画が分かりやすいので、ぜひご覧になってくださいね♪
参考:日本経済新聞のYouTubeチャンネルより『アニメ「イチから学ぶ資本主義」』
民主主義とは?
「民主主義」とは、自分たちが意見し、自分たちでものごとを決めるしくみのことです。
デジタル大泉辞によると、次のように載っています。
【民主主義(デモクラシー)】
人民が権力を所有し行使する政治形態。(中略)近代民主主義においては、国民主権・基本的人権・法の支配・権力の分立などが重要とされる。現代では政治形態だけでなく、広く一般に、人間の自由と平等を尊重する立場をいう。 |
分かりやすく言うなら、国民が意見する権利をもっている政治体制のことを民主主義と呼んでいます。
国民が意見できるとは、具体的にどういうことでしょうか?
国務省が出版している文書「Bureau of International Information Programs “Principles of Democracy”(日本語訳)」の一部を抜粋すると、次のように書かれています。
|
引用:民主主義の原則 – 概要:民主主義とは何か|About THE USA
つまり、民主主義であれば、国民が選挙で代表者を選び、代表者を通じて国の方針を決めることができるのです。
また、先ほどの文書には「民主主義諸国のあり方は多様であり、それぞれの国の独自の政治・社会・文化生活を反映している」とも。
日本は民主主義国ですが、日本独自の特徴もありますので、そちらは後ほど紹介しますね。
ところで、民主主義とよく比較される「独裁制」「君主制」についても意味を押さえておきましょう。
デジタル大辞泉で引くと、以下のように載っています。
【独裁制(独裁政治)】 特定の個人・党派・階級・身分などの少数者が国家権力を独占し、恣意的に行う政治。(後略) |
【君主制】
君主によって統治される政治形態。絶対君主制・立憲君主制などがある。共和制。 |
このように、「独裁制」「君主制」は一部の人たちが権利を独占して政治を行う体制のことを言います。
この場合、国民は意見を伝えることができず、一部の人たちに支配されることになります。
ここまで、民主主義とは?について解説しました。
民主主義とは、国民自らが投票という形で意見し、代表者を決めて政治を行うことです。
選挙活動を見かけたり、実際に投票に行ったり…。
民主主義を身近に感じる機会は、たくさんありますね!
では、ここまでの内容をまとめます。
「日本は資本主義?民主主義?どっち?」
そう質問されたら、自信をもって「資本主義であり、民主主義でもある」と答えてくださいね!
日本の民主主義はいつから始まった?
日本はいつから民主主義のしくみになったのでしょうか?
ズバリ、1889(明治22)年の「大日本帝国憲法」と「衆議院議員選挙法」が公布されたときです!
その理由は、「衆議院議員選挙法」が日本初の選挙のための法律であり、これによって国民に選挙権が与えられたからです。
一方で、「戦後民主主義」という言葉も見かけます。
これは第二次世界大戦後に普及した価値観ですが、明治時代の自由民権運動とはどう違うのでしょうか?
ここでは、戦前・戦後の民主主義の違いについて押さえた上で、日本の民主主義の始まりを確認しましょう!
以下の表に、戦前・戦後民主主義を代表する各憲法の違いをまとめました。
大日本帝国憲法 | 日本国憲法 | |
公布 | 1889(明治22)年 | 1946(昭和21)年 |
主権 | 天皇 | 日本国民 |
人権 | 法律の範囲内で認める | 生まれながらに侵されない権利を持つ
(基本的人権の尊重) |
国会 | 天皇の協賛機関 | 国権の最高機関 |
大日本帝国憲法では、天皇主権で、政治の最終決定権は天皇にありました。
国民の権利も認められましたが、あくまで法律の範囲内。
しかし、日本国憲法では、国民主権になり、国民の生まれながらにして持つ権利を尊重するルールに変わりました。
すなわち、日本国憲法は大日本帝国憲法の課題を改善した憲法なのです!
では、民主主義の始まりはいつでしょうか?
ここでもう一度、民主主義についておさらいしましょう。
「民主主義=国民が意見する権利をもっている政治体制のこと」です。
大日本帝国憲法で国民に権利が与えられ、衆議院議員選挙法で国民に選挙権が与えられます。
つまり、国民が選挙で議員を選ぶことが可能になった「衆議院議員選挙法」が日本の民主主義の始まりと言えますよね!
ここまで、日本の民主主義の始まりが1889(明治22)年の「大日本帝国憲法」と「衆議院議員選挙法」の公布時であることを説明しました。
当時は限定的な選挙権でしたが、いまでは18歳以上の日本国民であれば、誰でも選挙に参加することができます。
ここに至るまでにさまざまな歴史があったことは、ぜひ覚えておきたいですね!
日本の民主主義についてわかりやすく解説
民主主義のあり方は国によって異なり、日本も独自で民主主義を発展させています。
いまの日本の民主主義の特徴として、「三権分立」と「三権への国民の直接参加」があります。
ここからは、
- 日本の民主主義の特徴①:三権分立とは?
- 日本の民主主義の特徴②:国民が三権に直接関わる方法5選
以上の2つについて、解説します!
日本の民主主義の特徴①:三権分立とは?
三権分立とは、国家権力である立法・司法・行政をそれぞれ独立させ、お互いに監視する制度のことです。
三権分立の目的は、権力が1ヶ所に集中するのを防ぐため。
というのも、一部の人の権力が大きくなりすぎると、単独でものごとが決められますよね。
それでは、民主主義ではなく、独裁制になってしまいます!
そこで、国会が法律を作る「立法権」、内閣が実際の行政を行う「行政権」、裁判所が犯罪や争いを法で裁く「司法権」を分担し、民主主義の均衡を保っているのです。
具体的な三権の独立・監視のしくみは、以下の図をご覧ください。
日本国憲法下の三権分立
画像引用:内閣制度の概要 | 首相官邸ホームページ
このように、国家権力の暴走から国民の権利を守るしくみが「三権分立」です。
実は、アメリカも三権分立を徹底した大統領制を取っています。
権力を分散させることは、民主主義実現のための重要なポイントになりますね!
日本の民主主義の特徴②:国民が三権に直接関わる方法5選
民主主義の基本は、国民に意見する権利があることです。
では、実際にどのような手段があるのでしょうか?
国民が直接国家権力に関わることができる手段として、以下の5つがあります。
手段 | 関わる権力機関 | 内容 |
国政選挙 | 国会 | 代表者となる議員を選ぶことで、間接的に意見する |
国民投票 | 国会 | 重要な問題に直接「賛成」や「反対」を投票する |
世論 | 内閣 | 世論調査を通じて意見を伝える |
国民審査 | 裁判所 | 裁判官を辞めさせることができる |
裁判員制度 | 裁判所 | 実際の刑事裁判に参加して意見する |
このように、国民が意見の言える環境をつくることで、日本は民主主義を実現しているのです!
最近では、インターネットの普及により、自分の意見を発信できる場が増えています。
首相官邸にもホームページから意見を送ることができますので、活用してみてくださいね!
ここまで、日本の民主主義について、解説しました。
日本の民主主義の特徴は、三権分立によって独裁を防ぐこと、その三権に国民が直接関われることです。
昔とは違い、自由に意見できる今、日本の民主主義のしくみは整っていると言えそうですね!
まとめ
今回は、日本は何主義なのか?
資本主義・民主主義とは、何か?
日本の民主主義の始まりと特徴について解説しました。
日本は資本主義であり、民主主義国家です。
民主主義の始まりは、初めて選挙権が認められた1889(明治22)年の「大日本帝国憲法」と「衆議院議員選挙法」。
三権分立による国家権力の分散と、その三権に国民が参加できるシステムが整っており、今では国民誰もが自由に意見を言うことができます。
この記事で、日本の資本主義や民主主義について理解が深まったなら幸いです。
日本は何主義?等のよくある質問疑問
日本の社会は何主義ですか?
日本の社会は資本主義です。ですが、強い社会福祉制度も備えているので、しばしば「社会市場経済」とも言われます。これは経済活動は主に市場によって決定されますが、政府は教育、健康保険、年金などの社会的な安全網を提供することで市民の福祉を保障する役割を果たしています。
日本の政治の主義は?
日本の政治の主義は立憲民主主義です。
戦前の日本は何主義か?
戦前の日本は、大正デモクラシーと呼ばれる比較的自由な民主主義的要素を含む時期を経て、1930年代に入ると軍国主義と皇国史観に基づく体制に移行しました。これは、強い国家権力と皇室を中心とした国家主義が特徴です。
日本は、いつから民主主義になったのですか?
日本は、第二次世界大戦後の1947年に施行された新憲法(日本国憲法)によって、本格的な民主主義国家になりました。