普段使い・贈答用・自分へのご褒美にと、チョコレートの利用目的は幅広く様々。
私たちの日常生活を彩る、小さいながらも大きなアクセントになっていると思います。
そんなチョコがヨーロッパから日本に来て今年2023年で150年目。
※1今もすたれるどころか生活に定着し重宝され、製品としても発展し続けています。
日本発祥の「生チョコ」といった独自製品も生まれていますね。
近年は健康食品としてもクローズアップされ、”チョコ愛”は高まるばかり。
ただ一つ難点を挙げるとすれば、チョコが溶けた時の手にベタつくあの感触。
小さな子どもたちは溶けたチョコが手に付けば大喜びですが、おとなたちがあの感触というかベタつくこと自体を喜ぶのはかなりの難関かもしれません。
そこで今回は、チョコが溶ける室温や溶ける理由などを調べてみました。
ぜひ、おいしく楽しいチョコライフの参考にしてみて下さい。
※1 (株)明治のサイト「Hello, Chocolate」の記事
『チョコレートの歴史を解説!世界や日本でチョコレートはどのように広まったのか? 』より。
~日本初のチョコレートの記録は長崎~
(引用元URL:https://www.meiji.co.jp/hello-chocolate/basic/03.html)
目次:
1.チョコが溶ける室温は?
2.チョコが溶ける温度は車の中の場合は変わる?
3.チョコが溶ける時間は?
4.チョコレートの保存は夏の場合はどうすべき?
5.ゴディバチョコの溶ける温度は?
6.リンツ チョコの溶ける温度は何度?
7.チョコレートの溶ける温度は夏だと違う?
8.チョコが溶けるのはなぜ?
9.まとめ
チョコが溶ける室温は?
チョコが溶ける室温について、ネット記事によく採用されているのは「28℃で溶け始める」説ですね。
日本チョコレート・ココア協会HPの「よくある質問」への回答で、プルーム現象の解説中に「チョコレートの脂肪分であるココアバターが28℃前後で溶けはじめ...」という記述があります。※1
脂肪分は温度が低いと固まり、温かくなると溶けます。
マーガリンなんかがそうですね。
チョコに半分以上含まれるココアバターも脂肪分なので、温めればチョコが溶けるわけです。
ちなみにプルームとはチョコレートの表面に白い粒が浮かび上がる現象。
長期保管時に起こります。
溶けていた脂肪分が再び固まった物であり、無害で食べても全く問題ありませんが風味は落ちているということになります。
さて手元にある「明治アーモンドチョコレート香るカカオ」の保存方法欄には、確かに
・ 28℃以下の涼しい場所で保存してください。
と印刷してあります。
Wikipediaのココアバターのページ※2には、ココアバターの融点(溶ける温度)は「一般的に32℃~36℃」とあります。
また専門家の論文に「ココアバターにおいてチョコレート製造に最適な結晶形の融点は33℃付近」といった内容の文章があります。※3
その論文によると、ココアバターには6つの結晶形があり、そのうちチョコレートに最適な結晶形(室温で溶けにくく安定していて、工場で固めた後に縮んで型から外しやすい)の融点が33℃付近ということです。
ただ、添加物にココアバター以外の植物性油脂などを入れれば融点を上げ下げできます。これを利用したのが、夏に溶けにくいチョコや冬に柔らかく溶けやすいチョコです。
またプルームについては、保管温度が高いほど早く発生するという内容も同論文に書かれています。
とても長くややこしくなりましたので、ここでまとめてみます。
・チョコが溶ける室温は33℃付近。
・植物性油脂などが添加物として入っているチョコ製品は、溶ける室温に幅がある。
・プルームを出にくくするには、保管温度28℃以下を推奨。
なお取り上げた論文はネットで見れます。読みやすい箇所も多いので、興味のある方はご覧になってみて下さい。
※1 日本チョコレート・ココア協会HPの「よくある質問」より、
『プルーム現象はどうして起きるのですか?』 の回答
(引用元URL:http://www.chocolate-cocoa.com/dictionary/word/faq.html#w3_2)
※2 Wikipedia 「ココアバター」より、 「結晶と融点」
(引用元URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/ココアバター#結晶と融点)
※3 「チョコレートの結晶学」 株式会社明治 大阪工場 古谷野哲夫 日本結晶学会誌 56,319-322(2014)
(引用元URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcrsj/56/5/56_319/_pdf)
チョコが溶ける温度は車の中の場合は変わる?
チョコが溶ける温度は、チョコに含まれるココアバターの融点とほぼ同じです。従って、車の中でココアバターの融点が変わるかどうかが問題です。
融点は、物質にかかる圧力によって変わります。低い温度でも圧力を下げると溶けたり、逆に高い温度でも高い圧力をかけると溶けないままだったりします。
車内の気圧は冬の低温時・夏の高温時ともに外とほとんど変わらないので、車の中でも外でもココアバターの融点は同じ。
つまり車の中でもチョコが溶ける温度は変わりません。
ただ、気温が20℃前後を超えると車内温度が気温の2倍近くになることは珍しくありません。
チョコが溶ける33℃の半分、つまり気温が16℃を超えた日は車内にチョコを置かない方がよさそうです。
チョコが溶ける時間は?
チョコを放置してどれ位の時間で完全に溶けるかを実験している方は、ネットではほぼ見当たりませんでした。
個人的には毎夏必ずコンビニで買ったチョコを車内に置いて図らずもドロドロにしていますが、何分で溶けるか計ったことはありません。
強いて感覚で言えば、夏の車内に置いたら5分ともたない気がします。速攻で溶けてると感じます。室内だとせいぜい30分でベトベトに溶けそうです。
あとはお菓子作りで溶かす際の時間をみてみましょう。
ある記事では、砕いたブラック板チョコ2枚をレンチンで溶かす時間が50秒+40秒+30~40秒。
合間にかき混ぜ作業が入りますが、溶けるまでの合計時間は約2分。
チョコの温度は最後の加熱時点で約40℃、混ぜて溶け切った状態で約35℃とあります。※1
気温35℃の猛暑日にエアコン切った室内なら、2分とはいかないまでも5分もすればドロドロに溶ける可能性はありそうです。
※1 サイト「コリスのお菓子作りブログ」の記事
『電子レンジでチョコレートを溶かす方法・溶かし方・失敗しないコツ【初心者必見】』より
(引用元URL:https://outiokasi.com/choco-tokasikata-renji/)
チョコレートの保存は夏の場合はどうすべき?
暑い夏、チョコレートの保存に注意すべき点は 保管する温度・湿度・環境 です。
まずは保管温度。コンビニなどで売られているチョコレートには、保存方法に「28℃以下の涼しい場所で保存してください。」と印刷されています。気温が30℃を超える真夏日などは、冷蔵庫保管一択になりそうです。
また、リンツのHPにチョコレートの保存方法について記載があります。その一部を抜粋してみます。※1
・ しっかり包んで強い匂いを避け、温度14℃~20℃、湿度40%~65%の乾燥した冷暗所に保存。
・ 適切な保管下でリンツのチョコは数か月鮮度を保てる。
・ 冷蔵庫は湿度が高いので保管には不向き。敢えて保管するには密封容器に入れ冷蔵庫の下の方に置く。
高温多湿な日本の夏、現実的な保管場所はやはり冷蔵庫でしょう。
ジップロックなどに入れて野菜室保管がベスト、箱のままポンと入れておくのがセカンドベストという感じでしょうか。
一方、生チョコの場合は生クリームが入っているため保管条件がシビアです。
例えばロイズの生チョコの場合、保存方法は要冷蔵(10℃以下)とされています。
※2 賞味期限も1か月と短めなので、もはや生クリームそのものと思って冷蔵庫で保管して早めの食べきり推奨です。
冷凍保存について、ネットでは一般的なチョコで半年~1年の長期保存も可能という意見が多いです。※3
ただ生チョコは「冷凍すると違った食感を楽しめる。
でも賞味期限は伸びない」とのこと。※4
冷凍しても賞味期限が伸びないのは一般のチョコレートでも同様、と指摘するサイトもあります。※5
結論として、夏のチョコレート保存は冷蔵庫。
できればジップロックに入れて野菜室へ。
そして賞味期限までに食べきるということになりますね。
※1 リンツUK(Lindt & Sprüngli (U.K.) Ltd. )サイトの
Lindt Frequently Asked Questions(リンツへのよくある質問)から、
CARING FOR LINDT CHOCOLATE(リンツチョコのお手入れ) (英語)
(引用元URL:https://www.lindt.co.uk/help/lindt-frequently-asked-questions)
※2 ロイズオンラインショップより、 生チョコレート[ビター] 販売ページ
(引用元URL:https://www.royce.com/goods/detail/?o_no=2093&in_category=C010)
※3 生活情報誌「サンキュ!」公式サイトの記事
『【管理栄養士監修】賞味期限切れの「チョコ」はいつまで食べられる?冷凍したものは?』より。
(引用元URL:https://39mag.benesse.ne.jp/housework/content/?id=72530)
※4 ロイズオンラインショップ「よくあるご質問」から、『生チョコレートは凍らせても大丈夫ですか?』への回答
(引用元URL:https://www.royce.com/contact/faq/)
※5 サイト「知っておきたい食のあれこれ! 」の記事
『チョコレートを冷凍すると品質や賞味期限はどうなる?おいしいの?』より。
~板チョコは冷凍保存に向かない、かえって冷凍で味が劣化~
(引用元URL:https://cookerypassion.com/2393.html)
ゴディバチョコの溶ける温度は?
日本では高級チョコレートの代名詞としてすっかり定着した感のあるベルギー発祥のゴディバ。
高級なだけに一般のチョコより溶けにくいのでは、というイメージを持たれがちかもしれません。
では、ゴディバチョコの溶ける温度についてさっそく見ていきましょう。
ネットを見ていくと、ゴディバチョコが何℃で溶けるか実験した方が何人かいらっしゃいます。
ある記事では、
・ ブロックタイプは、室温28℃で普通の硬さ、30℃でベトつきはしないが変形する。
・ プレッツェルタイプは、26℃~27℃で触るとベトつく。
という結果を紹介されています。※1
一方ゴディバの公式サイトでは、ゴディバチョコの保存温度について以下の見解を示しています。
・ 理想は15~18℃、湿度50%前後で保存。
平たく言えば「夏、特に梅雨どきは無理」。実際にゴディバの限定品が並ぶコストコでは、暑い6月から8月の間、海外チョコを店頭販売していないとのユーザー情報もあります。※2
この時期の東京の平均気温は28℃。チョコに白いプルームが出る温度です。※3
以上を考え合わせると、ゴディバチョコの溶ける温度については
・ 28℃前後から溶け始める。
・ 30℃前後で変形するくらいに柔らかくなる。
と言えそうです。
※1 サイト「TrendView」の記事
『ゴディバ夏溶ける?チョコレートやクッキー保存(冷蔵庫)は何度からが良いのか実験しました。』より。
(引用元URL:https://trendview.info/gurume/godivasummer/)
※2 サイト「aoのコストコガイドブログ!」の記事『【コストコ】リンツリンドール 高温 ダメ 絶対!』より。
(引用元URL:https://ameblo.jp/honeyhoneydip/entry-12519352108.html)
※3 サイト「Weather Spark」1980~2016年の東京都月別データから平均気温を計算。
(引用元URL:https://ja.weatherspark.com/countries/JP)
リンツ チョコの溶ける温度は何度?
リンツと言えばリンドール。味わいもさることながら、ボンボンタイプの一口チョコを頬張って食べるときのプチボリューム感も魅力ですよね。
リンツチョコについても、何℃で溶けるか実験した方の記事をネットで見ることができます。
結婚式の引き出物にリンドールをと思われた方。室温高めの式場で本当に溶けないのか検証しようと、なんとストーブ前24℃の環境に8時間放置して溶けるかを実験されました。そうしたら、
・ 「何の変化もありませんでした。指で触っても柔らかくなっておらず、溶け出す気配もまるでなかったです。 」
という結果になったとのこと。※1 熱帯夜に放置しても大丈夫そう、という感じですね。
かと思えば、経験上「リンドールは高温絶対ダメ」という方も。時に28℃を超える残暑の秋に常温で置いていたリンドールを開けたら白いプルームが出ている。ベタつくし、味も口どけも落ちていて大ショックだったそうです。※2
この方によれば、25℃を超えるとまずチョコの中のガナッシュが液状化して、本来のリンドールとは別物になってしまうとのこと。
リンツチョコが溶ける温度については、チョコの中のガナッシュが溶けるのが25℃前後、プルームが出てくるのが28℃前後。ゴディバや一般のチョコとほぼ同じとみてよいと思います。
※1 サイト「引き出物セレクト」の記事
『常温保存でも溶けにくい!リンツ(Lindt)チョコレートのリンドールギフトボックス』より。
(引用元URL:https://gifts-for-wedding.com/sweets/1-1000yen-sweets/lindor-giftbox/)
※2 サイト「aoのコストコガイドブログ!」の記事『【コストコ】リンツリンドール 高温 ダメ 絶対!』より。
(引用元URL:https://ameblo.jp/honeyhoneydip/entry-12519352108.html)
チョコレートの溶ける温度は夏だと違う?
季節や環境が変わっても、チョコレートの溶ける温度自体は変わりません。チョコレートの原料に多く含まれるココアバターが溶ける温度になれば、チョコレート全体が溶けるからです。
ただ夏は室温や車内温度が気温より圧倒的に高くなる(車内は2倍にもなる)ので、他の季節より断然溶けやすいと感じますよね。
気温が高い夏は溶けやすい。逆に冬は溶けにくい。でも溶ける温度は同じということになります。
チョコが溶けるのはなぜ?
チョコレート原料のカカオマス(カカオペースト)には、脂肪分のココアバターが50%以上含まれます。このココアバターは通常の室温では固まっていて、人の体温くらいで溶けます。
室温が体温近くに上がったり、口に入れたチョコが体温で温まると、ココアバターが溶けるのでチョコ全体も溶けるというわけです。
冷蔵庫では固まっているバターやマーガリンですが、アツアツのトーストに塗ると普通の油のように溶けます。あれと同じ理屈ですね。
まとめ
チョコは贈られてうれしい食べ物の代表格。
腐らない・傷みにくい・日持ちする・保管がルーズでもなんとかなる気楽さ。
そして何より豊かな気分にしてくれるおいしさ。
それを手軽に味わえる。
チョコが長く愛されているのもよく分かります。
ただ愛するチョコといえど、溶けてしまえば一転して厄介な代物と化してしまうのも事実。
特に暑い夏。
そんな事実に遭遇することなく、おいしく食べて豊かな気分を味わいたい。
そこで今回はチョコが溶ける室温や溶ける理由、保存方法などについてお伝えしました。ぜひ参考にしてみて下さい。